来年度13年ぶりに、埼玉県で「司書」採用試験の実施が決定しました!
2012-04-30


4月27日に更新された、埼玉県のホームページ「県政ニュース」によると、埼玉県は、来年度図書館司書を9名募集するということです。(「司書9名」という中には、県立学校に配置される学校司書だけでなく、県立図書館に配置される司書も含まれています。)埼玉県は、1999年に最後の採用を行って以来、12年間にわたって司書の採用を行ってきませんでした。

埼玉県では、これまで司書の退職者が出ても、正規職員を配置するのではなく臨任の職員で対応してきました。埼玉県高等学校教職員組合や図書館関係団体などが、これまでずっと県に対して要望を続けてきましたが、司書の募集が行われないまま現在に至っていました。今回13年ぶりに、「司書」の募集を行うということは画期的なことであり、本当に喜ばしいことです。

「本とのふれあい」を県の教育の重点課題として掲げている埼玉県が、今後も、学校図書館の充実のための施策を進めていくことを心から期待したいと思います。

学校図書館と司書配置の問題について、あまりご存じでない方もいらっしゃるかと思いますので、以下に少しまとめてみました。

世界的に見ると、小中学校も含めて、学校図書館に専門的な職員が配置されていない日本のような国は、少数派です。日本では、1953年に「学校図書館法」が制定され、「学校には、学校図書館を設けなければならない」(第3条)、「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」(5条)と定められましたが、同時に司書教諭は「当分の間置かないことができる」という例外規定も設けられました。常識的に考えれば、「当分の間」というのは、司書の養成が進むまでの臨時的な措置のはずでしたが、この規定が撤廃されたのは2003年のことでした。

2003年以降は、全ての小中高校に司書教諭が配置されることになりましたが、教諭の定数が増えたわけではなく、今いる教諭の中の一人を「司書教諭」と任命したに過ぎません。他の教員と同じように担任や教科を持っている教員が、「司書教諭」という名前をもう一つもらったということに過ぎないのです。(本校でも、図書館と関わりのない進路指導部の副主任の方が発令されています。)

司書教諭とは別に、司書資格を持った専任の職員(つまり図書館に常駐し、図書館業務を行う専門職員)を配置しようという運動が、学校図書館法制定直後から、組合や図書館関係者を中心として起きました。こうした運動の結果、埼玉県では、1968年に初めて司書採用試験による独自採用が始まり、1975年に、全ての全日制高校への学校司書の配置が実現しました。

埼玉県内の小中学校の図書館には、未だに、県費での図書館職員はいません。自治体によっては、「図書整理員」などの名称で、市費で短時間の臨時職員を配置しているところもあります。草加市では、21小学校11中学校がありますが、「学校図書館教育補助員」という名称で、一人が3校を兼務し、1日4時間月12時間勤務しています。


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